2015/12/04

長谷川郁夫『本の背表紙』(2007年 / 河出書房新社)


装幀がすごくイイ!! こういうの大好きです。
装幀と本文絵を手がけたのは司修さん。

長谷川郁夫さんは小沢書店(という出版社。てっきり本屋かと思っていました。苦笑)を創立し、文芸編集者として多くの作家さんと関わった方で、その経験から本書は書かれています。

静岡新聞の日曜読者面に連載されていたもので、季節の様々な事柄(多くは作家の命日)から思い附く(思い出す)作家のエピソードが2ページに収められ、春〜冬の4章で成っています。

その短さが読みやすく、また、実際に作家さんと面識があるので、その作家の人となりが分かるのも興味を惹くところです。

知らなかった作家も多くあり(読んでみたいと思っていた作家さんも含め)、作品を引用してくれているのも私には有り難かったです。
どんな文章を書く作家さんなのか事前に知ることができたり、読んでみたいと思ったり。

それにしても2ページによく纏められるものだなぁと感心してしまいます。引用や作家とのエピソードや取り上げた季節の物についてや自身の感想まできちっと2ページに収めているのだからすごいです。


多くの作家(画家や彫刻家なども含む)が登場します。名前さえ知らなかった人もいます。まだ読んでない人や好きな作家もいます。
この本を契機に読みたい作家さんが増えました。

メモとして知らなかった作家さんの名前を挙げておきます。括弧内はメモ。

・高田博厚(彫刻家。田村隆一の奥さんで北村太郎の恋人の和子さんのお父さん。興味が湧いた)
・飯田龍太
・中野孝次(母校(國學院大学)の教授だったらしい)
・吉田健一(読んでみたいと思っていた。引用を読んで、やっぱり良い感じがする)
・渋沢孝輔(ランボー研究のフランス文学者。詩人)
・山本健吉(文芸評論家)
・飯田善國(彫刻家。詩人)
・式場俊三(編集者?)
・平岡篤頼(バルザックなどの翻訳。フランス文学者)

・田久保英夫
・清岡卓行
・塚本邦雄(歌人)
・辻嘉一(日本料理「辻留」料理人)
・永井龍男(江戸っ子作家の最終走者)
・鈴木六林男むりお(俳人)

・後藤明生
・稲垣足穂たるほ(リュナティックな作家)
・日野啓三(文芸評論、ルポルタージュ。のちに小説)
・野々上慶一(古本屋兼出版社・文圃堂の主人)
・大原富枝
・深沢七郎
・山室静(詩人。信州・佐久で堀辰雄らと「高原」を発刊)

・佐多稲子
・中井英夫
・福原麟太郎
・須賀敦子
・中里恒子(横光利一に師事。川端康成、堀辰雄とも親交があった)
・濱谷浩(写真家)
・山口哲夫(詩人)
・中村眞一郎
・武満徹(作曲家)
・磯田光一(文芸評論家)
・円地文子