2016/01/16

スティーヴ・エリクソン『きみを夢みて』(堀川芳明訳/ちくま文庫)



エリクソンワールド全開で、今回も良い小説でした。やっぱりエリクソンは良いです。やっぱり好きです。

訳者あとがきの中に各紙レビューが書かれていました。
どれも的を得ているし同意見だったので、そちらを幾つか引用抜粋します。
それを読めばこの本がどんな物語のどんな本なのか分かると思います。


痛々しいほどの誠実さ、人間的な挫折に対する謙虚な認識、まだ手遅れではないという、その希望的なメッセージ(ロサンジェルス・レビュー・オブ・ブックス誌)



さまざまなアクションや時間や大陸、リアリティを越えて響き合う (ニューヨーク・タイムズ文芸付録)


本作はこの狂気の時代において、小説にまだ何ができるかを私たちに教えてくれる(ボストン・グローブ紙)


エリクソンの荒々しくジャズ的なヴォイスは独自のものだ(ワシントン・ポスト紙)


美しく、エレジー風の物語の糸や登場人物が、リアルでも空想的でもある迷路の中で、失われた環をつまずきながら進む。家族とそのアイデンティティをめぐる、複雑かつ空想的なタペストリーだ(カーカス・レビュー誌)


本作は1960年代以前にまで遡る、より大きな物語を、つまり変形を被りやすい大統領選を巧妙に取り込んでいる。エリクソンは、メタフィクションの技巧や偶然の出来事、エコーなどを巧妙に使いこなすことで、この物語を語りそのものに関する考察へと変身させる(ニューヨーカー誌)


現在と過去のヴィジョンのすべてが、万華鏡のように鮮やかに織りなされ、エリクソンの手腕と情熱がしめされている(スーザン・ストレート氏)