2014/04/01

『ビアズリー伝』S・ワイントラウブ(高儀 進 訳 / 中公文庫)



オーブリー・ビアズリーについて私は全くと言っていいほど何も知らなかったのでとても興味深く読んだ。

以前、フロベールの『サランボオ』の感想に『サロメ』と似ていると書いたが、この本を読んでフロベールはオスカー・ワイルドやその他にも多くの作家に影響を与えていることを知った。フロベール的というものがあることも。

オーブリーがバーン・ジョーンズやホイッスラーに影響を受けていたことも(そして知り合いだったことも)初めて知った。
私にはちっとも作風が似ていると思えないけど、初期のオーブリーは「バーン・ジョーンズ的」らしい。

それに私はオーブリーが当時世間からそんなに悪評を得ていたことも知らなかった。グロテスクで悪趣味なものと言われていたなんて。
今でこそ素晴しい才能だと誰しもが認めるところであるが、1890年代ということを考えると認めるのは難しかったのかもしれない。しかしそういう時代に新しい藝術を生み出したオーブリー・ビアズリーの才能には本当に舌を巻いてしまう。

とてもおもしろかった。