思った以上にしんどかった。
読み始め、というか出だしは、すごく " お、いい感じの文章 " と思ったのだけど、読み進めていくうちに徐々にしんどくなっていった。
この作品は作者が自衛隊に入隊していたことがありその経験を物語にしたもので、夏の九州と冬の北海道を舞台とした2篇から成っている。
仲間や上司 ( ? ) が沢山出てくる。主人公の「ぼく」は、ただの東海ではなく東海二士であり、他にも一士、士長、二尉、二曹などなど様々な階級が出てくる。
当時の ( 昭和30年代の ) 自衛隊の様子や社会の様子はよくわかるし、風景描写も人物描写も綿密で詳細で素晴しい。
ただ、私にはそれがしんどかった。ちんぷんかんぷんとまでは言わないけれど、もっと主人公の行動や視点から感情が見えて欲しかった。もちろん主人公の心と風景ないし行動の描写がリンクする場面はたくさんあるし、ほとんどがそうなのだと言われればそうなのかも知れないけれど、それでもやっぱり私の内ではただの出来事の描写になってしまうところが多かった。
だから " つまんないなぁ " と思ってしまう時が何度もあって読み終えるのにだいぶ時間がかかってしまった。
おそらく、自衛隊のことを何にも知らない男性だけの共同生活と無縁な女性ということが大きく関係しているのだと思う。
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【 初出一覧 】
草のつるぎ 文學界 昭和48年 12月号
砦の冬 文學界 昭和49年 3月号
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