100年ほど前に書かれた短篇集。
作者のフィリップが生まれたフランス、セリイを舞台にした町の住人たちのお話。
山田稔さんが翻訳をしているから、まるで山田さん自身が書いたようなの作品だった。
訳者解説にこの本について的確な説明があったので抜粋しておく。
四百字詰原稿用紙に直してほぼ十枚、このわずかな枚数のうちに人生の断片が、いやときには一つの人生がみごとに描き出されている。これらを読めば、長く書く必要はないことをあらためて反省させられるだろう。
貧困、不幸な恋、病気、老年、死 ──── こうした暗い題材を扱いながらも、フィリップはどこかにとぼけたようなおかしみ、人生そのものの諧謔をしのびこませるのを忘れない。そのエスプリというか奇妙なやさしさ、人生を低い視点から、狭く限って、鋭くながめる、
すごく読みやすくておもしろくて、本当にあっという間に読み終えてしまった。
フィリップの他の作品も山田稔さんの訳で読んでみたくなった。