『四季Ⅰ』に比べると、こちらの方がつれづれなる随筆に感じる。
はじめに樹について、おわりに動物と自然についての項があり、あいだに春夏秋冬がある。
おわりの部分は、何となくいつもの串田さんより作り過ぎている感があった。
ずいぶんと飛躍しているような、そこまで考えるのはやりすぎているような、ちょっと胃もたれする感がある。
楽しく読んできたはずだが、私はちびちびと読むのでおわりが悪いと印象が悪くなってしまう。
そう思っていたら、あとがきに串田さん自身が、山歩きをしなくなってから日常の事象で同じように書く努力をしている、と書かれていて、なるほどそうかと気付いた。
これまで読んだ随筆の中心には山があり時たま日常が入る、という形だったのが、山の圧倒的な大自然による力がなくなったことで考え込まれた文章の感じになってしまったのだ。
山の自然を書いている串田さんの選ぶ言葉は本当にすごい。私の眼の前にもその自然を現してくれていた。
大自然から感じたものを書くのと、日常で感じる自然を書くのとは、多分だいぶ違う。
なんだかあまり良くないみたいな書き方をしてしまったけど、読んでいる時私は串田さんの目はすごいといつもいつも思っている。羨ましいと思う。
串田さんの文章を読むと、あぁきちんとものを見なくてはいけないと思う。