2010/12/24

『愛について語るときに我々の語ること』レイモンド・カーヴァー(中央公論社/村上春樹訳)

ずっと以前に、レイモンド・カーヴァーの何かを読んだことがあったと思うのだが、何を読んだのかすら覚えていないのだから、その時は然程感動しなかったんだと思う。
それでも何となくまたカーヴァーを買ってみた。

さて、今回はというと、やっぱり特別にものすごい衝撃を受ける(たとえばエリクソンの『黒い時計の旅』を読んだ時とか、ファウルズの『魔術師』を読んだ時とかのような)というのではなかった。
この前読んだ『and Other Stories -とっておきのアメリカ小説12篇-』と割と同じような感覚。どちらも短編集でアメリカ小説というのもあるかも知れない。でもまぁ、同じようだとは言え、私はカーヴァーのこちらの短編集の方が良かった。(もちろんいくつもの作品があるので好きなものとそうでないものというのはあるけれど)
中でも私は『出かけるって女たちに言ってくるよ』『デニムのあとで』『足もとに流れる深い川』『私の父が死んだ三番目の原因』『静けさ』が好きだ。

あー、レイモンド・カーヴァーってこういう感じなんだ、というのはよく掴めた。他のも読んでみてもいいなという気にもなった。

ブラックな感じがいい。絶望+救いのない感じ、さらにそれを投げ出しっ放しな感じ、またそのままの終わり方。私は嫌いじゃない。

私は気持ちの波が激しいので、こういうのがいい時もあればほっこり温かい救いと希望のある物語が読みたい時もある。
だからカーヴァーのこの作品が好きな人もいればそうでない人もいると思う。