続いて倉橋由美子さん。
私はこれはちょっと微妙だった。
大金持ちの美男子、彗(すい)君が魔酒という酒を飲んで現実の世界と別の世界とを行き来するという話なんだけど、何というか、私はピンと来なかった。
突拍子すぎるというか、その不思議な世界の描写にも良さを感じないというか、とにかく何というか微妙だった。
それでも読んでいくうちに馴染んできて、徐々にスムースに読めるようにはなったけど。
帯に「最後にして最上の作品」とあるけど、私にはそこまでの感激も感動もなかった。
エリクソンみたいにしたかったんだろうな。
言葉でありながら言葉は言葉の形をとらずダイレクトに映像と化す、そういうような世界を描きたかったんだろうと思う。でもそうなりきらなかった感じ。
エリクソンはやっぱりすごいと改めて思う。