眠れなくて読み始めて、睡魔が来る間もなく数時間で読み終えてしまった。
淡々としたテンションの低めな感じは桜木紫乃さんと似ているようにも思う。しかしこちらは東京が舞台だから実際は似ているようでまるで似ていない。
『タタド』『波を待って』『45文字』の三編が収められていて、私は三つ目の『45文字』が好き。私はやっぱり主人公は男性の方が読みやすい。
小池さんの物語の設定はどれも変わっていておもしろい。
「あり」そうで「ない」、「なさ」そうで「ある」、そういう感じ。
どれも死の匂いが漂っていて、それは同時に生きるということでもあって、そういうところが「突拍子もない話」にさせないでいるのだと思う。
ありそうでなくてなさそうでありえる現実の側に物語が引き留められている。