ここから少し女流作家シリーズが続きます。
堀田善衛さんの『ゴヤ』の感想は追々載せます(今再読中)。
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さて、まず桜木紫乃さん。
私は結構好きな感じのトーンだった。
すべての話が北海道の村が舞台となっていて、そこに暮らす女性の姿が描かれている。
『霧繭』という話は着物の仕立て屋の女性の話で、私もちょうど長襦袢に半襟をつけるという作業が待っていたので印象に残った。
しかし、話として私が気に入ったのは『水の棺』と『氷平線』。
どちらも暗い。いや暗いというと語弊がある。閑寂(しん)として冷たいという方が近いのかも知れない。
北海道という土地の静けさと冷たさと、人間の命を飲み込むほどの厳しく美しい自然、そしてしがらみだらけの田舎で育った人間の特殊な性格が際立っていて、私はその2つの話が良かった。