2013/02/20

『プレオ−8の夜明け 古山高麗雄作品選』古山高麗雄(講談社文芸文庫)


安岡章太郎さんの『悪い仲間』に出てくる藤井高麗彦が古山高麗雄さんのことだと知り、古山さんを読んでみたくなった。
そして古山さんを読み終わってから、もう一度『悪い仲間』も読んでみた。

古山さんの作品を読んでから『悪い仲間』を読んでみると、最初に読んだ時の「藤井」は、棘と毒気と高慢みたいな感じを多めに感じたのだが、今回の「藤井」は、弱くて真面目なところが強く引き出されているように感じた。

それは、古山さんの作品を読んで、古山さんが弱くて真面目で人のために尽くす人に思えたからだ。
もちろん、そもそもそういう風にして描かれている作品なのだと思う。私が間違って捉えていたのだ。


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何日も前に読み終わって、感想を書かなくてはと思っていた。しかし、どうにも何を書いていいのかわからなくて書き倦ねていた。
悪くはないし、良かったとも思う。でもこれまでのいつもの読後感とはちょっと違って、感想が思い浮かばなかった。

『白い田圃』と『プレオー8(ユイット)の夜明け』と『蟻の自由』が良かった。
どれも戦争記で、『白い田圃』と『蟻の自由』はビルマでの話、『プレオー8の夜明け』はサイゴン刑務所での話。
どれも戦争記としては読んだことがないようなものだった。とくに『プレオー8の夜明け』のような、戦犯として刑務所で暮らすというシチュエーションは珍しいと思う。
いつ外に出られるのかわからず、自分達の未来を描けない。生きるためにその日々を明るく過ごそうと芝居をやり、妄想をする。
おもしろおかしく書かれているその奥に深いところがある。

真面目に感想を書くとなったらもう1、2回は読まないと本当の感想は書けないと思う。
いや、何度読んでも感想なんて書けないかもしれない。