2011/09/21

川上弘美『パレード』『おめでとう』『椰子・椰子』『ざらざら』










体調が良くなくてソファで横になってばかりいたので、さらりと読める川上弘美を読もうと思って本棚から『パレード』を引き抜いた。

ページを開いて「あぁ、今の時代の本はデザインなんだなぁ」と思った。
この前に中村昌義さんを読んでいて、川上弘美さんの文章(出だしの1行)を見たら中村さんの方は絵画なんだと気付いた。中村さんの小説は絵画のうちでも佐藤哲三の絵のようだと感じた。

あっという間に『パレード』を読み終えて、それから『おめでとう』と『椰子・椰子』と『ざらざら』も読んだ。

読み続けていると「川上弘美は働く女子のための、妻子持ちと恋をしている女子のための、本だなぁ」と思う。
だいたいが女性が主人公だし、女の人が書く小説って感じがする。
女子ってこういうセンチメンタルなデザインが好きなのだ。
『パレード』や『おめでとう』や『ざらざら』は、どこがどうだとは言えないけれど、決定的に女子の小説だと思う。

『椰子・椰子』は、女子とか男性とかいうのはなく、どちらかといえば、他の川上作品が好きな女子は苦手なんじゃないかと思う。内田百閒風だから(解説で南伸坊さんもそう言っている)ちょっと毛色が違う。
私はその非現実的な夢のようなお話の中にも現実の色々な考えや捉え方が垣間見えて(つまり有り得ないお話自体が比喩という形になって成り立っているように感じるところが多々あって)、こういう川上さんの方が好きだしすごいなぁと思う。

『おめでとう』と『ざらざら』は短い話がいくつも入っている。本当にいろんな女子が出てくる。様々な年齢の様々な境遇の(とはいえ実はどの人も同じ人みたいにみんな感覚や感情や思考は似ているなのだけど)女子がいる。
だから女性ならたぶんなんとなく誰でも共感するように思える。色々な主人公がいるから、その誰かには読んでいる自分と似ている人を探せるような気がする。
たとえば、私なんかは、『おめでとう』に出てきた(この人は『ざらざら』にも出てくる)、時々少しお金になるイラストを描いて、時々全くお金にならない油を描く女の人に近しいものを感じた。それにまた、好きな人に会いたい会いたいと強く思うところとか、友達がおかまとか、そういうのも似ていると思う。

いっぺんに読んだら、大好きだった人をものすごく恋しくなった。
でも叶わないから、胸の奥がぐっと苦しくなって、悲しくなった。(川上風に書いてみた)