2012/03/22

『フォークナー短篇集』William Cuthbert Faulkner ( 瀧口直太郎 訳 / 新潮文庫 )







 野呂邦暢作品集の中に、野呂さんが好きだという小説がいくつもあった。それで買ってみた1冊。


 他に、リルケの『マルテの手記』( 大山定一 訳 )、コンスタン『アドルフ』( 大塚幸男 訳 )、グリーン『幻を追う人』( 福永武彦 訳 )、フィリップ『小さな町で』( 山田稔 訳 ) を買った。
 これ以外にも読んだことのない本がたくさん記載されていたけれど、読みたいと思うもので、Amazonで買えて値段が手頃なものを買った。


 感想は、・・・・・特にない。
 好きな作品は終わりが近づくと名残惜しい気持ちになってちびちびと読み進めるのだけど、これはとくにそういうこともなかった。良くないというのは全く無くて、いい本だと思う。ただ私は特別にすごく感動しなかったというだけ。
 読み終えて随分と時間が経った今になると、読み終えた時よりも良かったんじゃないかという気持ちが増えている。


「嫉妬」「赤い葉」「エミリーに薔薇を」「あの夕陽」「乾燥の九月」「孫むすめ」「バーベナの匂い」「納屋は燃える」の8編が収められている。
 その中で私がいちばん好きなのは「バーベナの匂い」。
 どれも印象深い作品だし、どれもそれぞれ面白かったし、インディアンの話の「赤い葉」も捨てがたいのだけど「バーベナの匂い」は他の作品にはないものがある。クセの強い文章もいい具合の割合だったし、いいなと思う描写が多かった。


 フォークナーについて何も知らなかったから、黒人と白人の不条理な関係について書く人だというのを読んで初めて知った。
 知っていたら読まなかっただろうから知らなくて良かった。


 なるほど、こういう文章の人なのかというのが分かっただけでも読んで良かったと思う。