2015/10/24

長部日出雄『津軽世去れ節』(昭和47年/津軽書房)



津軽を舞台にした短編6篇が収められています。
太宰治からの津軽繋がりで読みました。

『津軽じょんがら節』と『津軽世去れ節』が特に良かったです。
津軽三味線やじょんがら節の歴史がとても興味深く、面白かったです。津軽弁の会話も味わい深くて良かったです。


〈 津軽には、葛西善蔵、太宰治、という所謂「破滅型」の系譜があるといわれている(p82)〉ことを初めて知りました。

いまのこどもたちが大人になったときに、咽喉をしめつけるようにして声をしぼり出し、抑圧された思いを屈折させて震わせる小節に共感を覚えることは、おそらくないだろう。あるとすれば、それは悪い世の中になっているときだ。が、小節は消えても、かつて人人がヨサレ節に籠めたうたのこころが失われることはあるまいと思う。(p135)