2014/08/05

銅版画家の小川友美さん


ITmedia名作文庫で現在連載中の芥川龍之介『支那游記』と正宗白鳥『文壇五十年』の装丁をお願いしたのは銅版画家の小川友美さん。

何年か前に「きそがわ日和」というイベントで初めてお会いして、独自の世界を持った、センスのいい、しっかりした人、という印象の小川さん。

そんな小川さんなので、装丁が難しい作家をお願いしちゃいました。


『支那游記』
芥川龍之介は、1921年3月から7月までの4ヶ月間、大阪毎日新聞社の海外視察員として中国を訪れ各地を訪問しました。帰国後、大阪毎日新聞に掲載された紀行文等を中心にまとめられたのが『支那遊記(しなゆうき)』(改造社、1925)です。この旅行後、芥川の心身の衰えが始まります。いったい、芥川は中国で何を見たのでしょうか? 『支那遊記』は「上海遊記」「江南游記」「長江游記」「北京日記抄」「雑信一束」で構成されています。改造社版の底本は全文振り仮名の付いた「総ルビ」ですが、ITmedia 名作文庫では常用外漢字など、読みづらい文字に振られた一部のルビ以外は省略するとともに、新聞連載時のイメージで、毎日一編ずつ掲載していきます。(電子書籍は近日刊行予定)




『文壇五十年』
明治末期から1962年に亡くなる直前まで、小説、戯曲、評論分野の第一線で活躍した正宗白鳥による文壇回顧録です。白鳥は読売新聞の芸術担当記者としても自然主義を盛り上げた一人。美術、文学、演劇に造詣が深く、本書では、岡倉天心、夏目漱石、森鴎外、左団次、永井荷風、幸徳秋水と大逆事件の影響、第二次大戦中の言論統制の実態等々、50年分のトピックが語られます。「本当の事」を書いてきた白鳥ですが、ここでは「底抜けの本当の事なんか書かぬように筆を謹むべきであろうか」と序文にあります。ITmedia 名作文庫では、1954年に河出書房から発行された単行本を底本としました。なお底本には写真が多用されていますが割愛しました。(近日刊行予定)
http://classics.itmedia.co.jp/masamunehakucho/