2013/06/15

『隅田川小景』増田みず子(日本文芸社)


男性が書くものはロマンチックでセンチメンタルで未練がましい。
女性が書くものは現実的でドライできっぱりと潔い。
と、思う。
どうして女性作家さんの話はみんな簡単に離婚するんだろう。男が何を考えているかわからないと言い、男に愛想を尽かし、自分の足で立つことを求める女たち。
そういうところばかり目立つから女性作家はあまり好きになれない。

しかも、男性が書くものは大抵主人公と相手と両方に同じような目線を投げているのに対し、
女性が書くものは大抵主人公にしか目線を投げない。だからつまらないのだと思う。主人公の考えしか出てこないから自分勝手で自己中心的な感じになる。
もちろんどちらの場合にも例外はあるけど。


とくに何も感じなかった。心にぐっとこなかった。汚れた隅田川と心や生活をリンクさせて話を進めるというのはよくできているし、おもしろいとは思うけど、全体として軽かった。
わざと故意に軽くしているのは分かるけど、「書かないけど底にあることが分かる」という書き方と「軽くして書く」というのはちょっと違う。

この中だったら最後の『赤い月』がいちばん良かった。含みを持たせていて状況だけを描きながら心を描くという書き方で、おもしろかった。